アテナの歌
アテナの歌、バルカローネが流れますが、ここのシーンは例によって、PCで歌のフレーズに合わせてカットの長さを調節し、アテナが実際に画面に映るところはスポッティングを出して貰いました
※スポッティングとは、音楽の楽器や歌の、どの音が何コマ目に来るのか・・といった詳しい情報を、音楽を調べて表にして貰う作業です。
今回は歌なので、予てから「歌を歌うならこうしたい」という我が儘を通させて貰いました。
アテナが画面に映るカットに関しては、子音の波形がスタートするところと、母音の波形のアタックが来る部分を、一音一音全部調べて貰って、それに合わせていとうさんに原画を描いて貰いました。
例えば「サーーー」という声を出そうとすれば、必ず「ス」の口の形で子音が始まり、「アーーー」の母音が発せられる位置で、「ア」の口になります
それは母音のアタックのところに来るので、それが作画で出来れば、完璧に口がシンクロするはずです。
結果はご覧の通りで、念願だった「子音まできちんと発音する、歌のカット」が出来上がりました
ただ、サイズが少し小さめだったので、少々インパクトが薄めでしたが、あのカットの成立には、人知れない計算と苦労があったのでした。
食事をする灯里、藍華、アリス
ARIAでは毎回のように、食事シーンやお茶のシーンが出てきます
演出の立場からすると、これらを美味しそうに見せる事が監督からの絶対命令のようになっていて(w
プレッシャーを感じながらも、美味しく表現しようと頑張っていました(w
特殊効果(ブラシ)の阿部さんにも頑張って貰い、動くパン等にもブラシを噴いてもらっています
作画的にも、今回藍華が飲むスープはミネストローネにして、具材も一々描き分けてもらったり、細かい部分を丁寧に作画してもらいました。
湯気を出すかどうか迷いましたが、今回は初夏の日差しの中での衣替えの季節・・ということで、思い切って湯気を無くしてみました。
(第10話のお月見会のお茶などは、しっかり湯気を入れています)
オレンジジュースの表現も中の氷が、コップの外側に、角張った所だけが見えるようにして、ブラシで馴染ませています。
つい、ダブラシにして向こう側を透けるような作画をしがちですが、普通ジュースの向こう側は見えないものです。
また、コップの輪郭も、色トレスにせず、あえて黒の実線にしています
意外と黒の実線は、ガラスの表現に向いているんですね。
さて、ここで全てブラシが入って、おいしそうな料理が出来上がったのですが・・・
アリスがパンをちぎる時のパンの動きが、「ポヨン」と動いてしまいました(w
原画で、ちぎれるパンの動きにリアクションをつけているんですが、リアクションの動きの幅が大きかったのを、演出チェックの段階でちゃんと修正しきれなかったんですね。
「しまった。食べ物はちゃんとやらなきゃいけなかったのに!」
これにリテークを出そうとしたところで、助監督の竹下さんから、「いっぺん佐藤さんに見せてみたら?」と助言を貰いまして、ダビング時に佐藤監督に見て貰いました
佐藤順一監督「別にこのままでもいいんじゃない?(w」
あれ・・・・・?
ここでもやはり、「こうでなければならない!」という思い込みが、自分だけの思い込みである可能性に関して考えさせられました。
ARIAは本当に、懐が深いなぁ・・・
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確かに、子音+母音になってますね!
これは気が付きませんでした・・・と言うより、気付かない様に自然に見せるのが、この作画の指名であるならば、大成功、ですねw
しかし、調べてみたら歌詞は造語だそうで、明確なモデルがない分、大変だったのでは?
個人的には、アテナの体の動きが好きですね。
歌う歌手の体の動作、しかも歌がスローテンポですから、これは相当難しかったんじゃないかなと思います。